なおぴおさん(愛知県)
投稿日: 2024年5月27日
4点
21世紀の国産車の中でも相当に可愛らしい表情と、オープンではあるもののお手本の様な堅実なクーペスタイルの組み合わせはまさしく奇跡的なものだ。
軽自動車のパッケージングの中では歴代最高クラスのまとまりの良さで、それでなお実用性を十分に兼ね備えたパッケージングは正当なブリティッシュコンバーチブルの価値観を汲む。
実際ラゲッジスペースは相当に広く、上に大きく飛び出させないのであれば買い物かご2つは入ってしまう広さを持つ。当然電動ルーフを格納すれば荷室はかなり制限されてしまうが、クローズドの状態で普段使いする分には何の不満もない。
ドライバビリティの面では癖の無いハンドリングが良い。特に回り込むコーナーで適度にアクセルを使うことでインに食い込んでいく特性はFF車としての理想的なものに近く、絶対スピードが低くともスポーツ走行を十二分に味わえる。
コーナリングGを上げても怖くないシャシーとシートサポートも秀逸で、有り体に言えば一般的な軽自動車のそれではない。
ボディサイズやエンジンパワーも適切で、ワインディングのために作られたかのような纏まりを持っている。この車を最大限味わうなら、サーキットよりも峠道が向いているとすら感じる。
ドライバビリティの面では、ハードに走り込むとサスペンションの柔らかさとタイヤ幅の細さ、街乗りに振っているブレーキコントロールに少し不満が募る。
私は新車時の状態を知らないが、それでも絶対的なスプリングレートの低さは感じ、車速やGレベルが上がるほど一般的な車に近い雰囲気を感じる様になる。特にロールに対してのピッチング方向の動きがオーバー気味で、車速が上がりきらない内からピッチング方向にはある種過激に反応し、旋回Gの増大に従いだんだん気になりにくくなるといった雰囲気を感じる。
また、絶対的なタイヤ幅が細い(165mm)ためタイヤが暖まっていない状態(基本的にワインディングでは暖まりきらないが)での強いブレーキングには不安が残る。
ブレーキ自体の制動力やエンジントルクに比べるとタイヤがプワ気味に感じる為、可能ならスポーツ走行向けのハイグリップタイヤを装着するのが望ましいだろう。
ブレーキのコントロール性に関しては正直街乗り向きで、ハードな走行を考えると幾何かリニアさに欠ける。踏み込んだ際の効きの増大具合は少し緩慢で、抜く際も感触が少々掴みづらい気がある。
実用性の面ではカップホルダーがセンターコンソールにしかなく、二名乗車時に対応できない。オーディオ部に追加は出来るが、ナビが欲しい人や純正オーディオを残したい人にとっては相当につらいだろう。
また、個体差もあるが雨漏りが頻繁に起き、かつ部位によっては対策や修理に非常にコストがかかる。室内シート裏が特に雨漏りが起きやすく、本当に長く乗るつもりであれば購入前にシートレールやシート下面の鉄パネルの錆び具合や背にくるプラスチック部に水滴のシミがないかは確認するべきだろう。
もちろん金をかけて直すのであればそこまで気にする必要もないが。
また、ドライビングポジションについてはペダルのレイアウトが若干右寄りになっている点や、テレスコピックはあるもののステアリングとシフトレバーは奥よりに設置されており、かつシートのヘッドレストは厚さが不足気味なので身長が低い人、腕と足が長くない人にはポジションが少し合わせづらいだろう。
他にはシートベルトガイドの作り方が少し悪く、使うとシートベルトの巻き戻しに支障が起きやすく、使わないと(外して使うと)ベルトが首の真横に直撃するので妥協が必要になる。
ミクロな点では不満もあるものの、現代に蔓延っている多くの車よりは魅力的なオーラを持ち、車両特性も相当に素直で良いものである。
シートは座り心地、サポート性共に良いし、エンジンは6000回転までならまさしく快音を響かせてくれる。
少なくともスポーツカーと言える造りにはなっているので、出来の良い日本車でブリティッシュオープンさながらのライフスタイルを味わいたい人、純粋に手頃な車で走りたい人にはとてもオススメできる。
それでいて軽自動車特有の経済性・利便性の良さは抜群で、安価ながら日常使いにも不足はない。
その為、二人暮らしまでの世帯やファーストカーがスポーツカーの人のセカンドカー、若い人のメインユースどれにもなれるだろう。
このクチコミは参考になりましたか?
参考になった人:18
あなたのクルマクチコミを投稿しませんか?
新車時価格はメーカー発表当時の車両本体価格です。また基本情報など、その他の項目についてもメーカー発表時の情報に基いています。