マックさん(埼玉県)
投稿日: 2026年6月26日
5点
P380の一番の魅力は、やはり3.0L V6スーパーチャージャーが生む豊かなパワーと上質な走行フィール。アクセルを踏み込めば過給機特有の途切れない加速がグッと湧き上がるし、巡航に入ればスッと静かで落ち着いた表情に変わる。この緩急の幅広さが、「ああ、ちゃんと高級車に乗ってるな」という実感をしっかり与えてくれる。
燃費は走るシーンによるけど、だいたい8〜14km/Lの間。3000ccのハイパワーSCエンジンと考えれば、むしろ良いと思える数字。街中で踏めば落ちるし、流せば二桁後半も狙える。この素直さも好感が持てるところ。
デザインは外装・内装ともに本当に完成度が高い。ヴェラールは「引き算の美学(reductivism)」を掲げるジェリー・マクガバンの思想が一番きれいに結実したモデルで、面で語らせるためにあえて要素を削ぎ落としている。ボディに収まるフラッシュドアハンドル、贅肉のないクリーンなサーフェス、伸びやかなショルダーライン——「足し算で目立たせる」最近のSUVの流れに背を向けて、緊張感のある面構成だけで存在感を成立させているのがいい。内装も同じ哲学で貫かれていて、物理スイッチを極限まで減らしたデュアルタッチスクリーンと水平基調のレイアウトが、静かでモダンなラウンジみたいな空間を作ってくれる。見るたび、触れるたびに、これは「スタイリングされた車」じゃなくて「デザインされた車」だなと感じる。
それからサイズ感。これが日本では実に絶妙で、ラージSUVの部類に入りながら日常で持て余すことがない。気を遣わせない取り回しと、駐車場でちょっと振り返らせる存在感が高い次元で同居している。「大きすぎず、でも埋もれない」——この所有欲を満たす微妙なバランスは、ありそうでなかなか出会えない希少なものだと思う。
正直に挙げるなら、ナビ(インフォテイメント)の立ち上がりがちょっと遅い。エンジンをかけた直後はシステムが完全に起動するまで一拍あって、せっかちな人は気になるかも。
ただ、これはこの車の「故障」じゃなくて「個性」の範囲だと思っている。神経質に付き合うとストレスになるけど、起動を待つわずかな時間も含めてこの車のリズムだと割り切れば、まったく問題にならない。むしろ車が目を覚ますのを待つ感覚すら、この手の車を可愛がる楽しみの一部かなと。デザインや走りで得られる満足の大きさに比べたら、ここは些細な代償でしかない。好きがあれば十分に飲み込める範囲だと思う。
ヴェラールP380は、スペックの数字以上に「持つ歓び」で語りたくなる一台。V6 SCの上質なパワーフィール、ジェリー・マクガバンの哲学が貫かれた内外装デザイン、そして日本でこそ活きる絶妙なサイズ感。この三つが噛み合って、日常の移動をちょっと特別なものに変えてくれる。
ナビの起動の遅さみたいな細かいところはあるけど、それを差し引いても余りある魅力がこの車にはある。大事なのは、こういう車を「完璧な工業製品」として神経質に見るんじゃなくて、個性も含めて受け止める姿勢だと思う。割り切るところを割り切れる人にとって、P380は価格やカテゴリーの枠を超えた満足を返してくれる。
ラージSUVらしい堂々とした存在感はほしい、でもデザインの純度も日常の扱いやすさも譲りたくない——そんな欲張りな願いに、静かに、でも確かに応えてくれる稀有なクルマ。心からおすすめできる。
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