親友との、あてのないドライブ。思い出すのは、いつも車内|Carsensor IN MY LIFE

他愛のない話をしたり、真面目に熱く語ったり

大学生活も残り1年。就職活動が本格的に始まり、学生生活が終わりに近づいていることを否が応でも実感する。この3年間は“劇的”ではなかったが、楽しかった。フットサル・サークルの仲間との旅行や、アルバイト先の後輩が主催する合コンなど、遊びにばっかり夢中だった。

しかし、そんな俺も来年からは社会に出る。周りの友達も、浮ついた話題から一転。企業説明会で聞いた話や面接で失敗した話、やりたい仕事の話……。みんな将来を真剣に考えて、頑張っている。

周りにちらほらと内定者が出始め、少し焦りを感じ始めた、そんな時だった。中学時代からの親友から連絡が来たのは。

親友は通学用にクルマを持っていて、学校帰りの俺を迎えに来てくれた。校門を出て少し離れたところに見慣れたシルバーのコンパクトカーが止まっている。

「久しぶり」と声をかけたが、まったく久しぶりな気がしないのだから親友とは不思議なものだ。早々にクルマに乗りこむ。予定は何も決めていなかった。とりあえずいつものファミレスへ向かう。

スズキ スイフト

地元にある国道沿いのジョイフルには、家から少し離れているが、友達がこのクルマを手に入れてからよく通うようになった。店内は閑散としすぎず、かといって混みすぎてもおらず、居心地が良い。この店で最近あったことや色恋の話をするのがお決まりだった。

でも今日はちょっと真面目。ゼミや就職活動の進捗などいろんな話をする。親友も就活で苦戦しているらしく、自分の焦りも忘れて心配になった。

時間は過ぎ、少し話し足りなさを感じつつ、店を出る。

「さて、どこいく?」

「適当(笑)」

これも、よくあることだった。気の向くままに走る、当てのないドライブ。意外に遠くに行ったり、たまたま辿りついた街を探索してみたりと、目的地は本当に適当だ。でも、なぜか会話が弾み、ついつい遅くまで語り合ってしまう。

スズキ スイフト

「どこだろうな、ここ(笑)」

クルマでひたすら走り、トンネルを抜けると見知らぬ川沿いだった。でも、せっかくだ。クルマを駐車場に止めて散歩することにした。

中学生の頃も部活帰りに仲間とよくダベっていた。目の前に広がる風景はまるで違うのに、当時を思い出し、懐かしさがこみ上げてきた。

スズキ スイフト

話のネタがなくなると、なぜか真面目な話が多くなる。そして、それはクルマの中が多かったような気がする。

帰り際に話したくなるのか、互いに顔を合わせない車内の距離感によるものなのか。理由はわからないが、オーディオから流れるBGMが耳に響く。無言の時間ですら心地が良い。

だからか、自分の中に溜まっていたものがスッと口から出た。有名な企業ばかり受けて、自分が本当にしたいことがないこと。周りが前に進む中、自分は停滞しているような気がしていること。友達は黙って聞いてくれた。

自分自身を見つめることは苦手だ。でも、車内の独特な空気が自然と本音を引き出してくれた。

スズキ スイフト

こそばゆい感傷に浸っていると、自宅の近くの大通りまで来ていた。「ここでいいよ」と告げ、クルマを止めてもらう。

「じゃ、また」「おう、また今度」

別れの挨拶を交し、クルマは走り去る。俺も家へと歩き出す。夜はすっかりふけていた。長時間座っていたから身体は痛いが、胸のつっかえはすっかり取れていた。

スズキ スイフト
親友との、あてのないドライブ。思い出すのは、いつも車内

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友達のクルマに乗っていたら、俺も欲しくなってきた。もし買うとしたら、どんな中古車が良いか。価格が安くて、荷物も積めて、運転もしやすくて……。そんな条件を備えるクルマの中でも、俺が選ぶなら日産 キューブ、スズキ スイフト、マツダ デミオ。ヤバい、本当に欲しくなってきた!

文/たけだたけし 写真/鈴木克典 スタイリング/三宅剛 ヘアメイク/横山雷志郎(Yolken) モデル/樽見顕斗、佐野弘樹

CREDIT

MAN 1:シャツ7800円/ブルートルネード(スピックインターナショナル03-3794-9700)、他私物
MAN 2:カットソー5800円、パンツ7800円/ともにブルートルネード(スピックインターナショナル 03-3794-9700)、他私物
※価格はすべて税抜

※掲載内容有効期限:2016年4月29日