FJクルーザー▲自動車・中古車に関する調査・研究を通じ業界の発展を目指すリクルート自動車総研が、調査データと独自の考察をお届け。今回のテーマは「個性的な車」について。写真は絶版ながら独自のスタイリングで根強い人気が続くトヨタ FJクルーザー(初代)

均一化する最新モデルに対し、中古車が個性的に映る!?

リクルート自動車総研が行う『中古車実態調査』で「中古車のイメージ」を聞いたところ、3人に1人が「個性的な車が多い」と捉えていることがわかりました。

こういった考えは年々に増加傾向にあります。加えて、世代別の傾向は顕著で、60代の24.4%がそのように回答しているのに対し、20代は41.0%を占めています。

リクルート自動車総研グラフ

主たる要因は、自動車産業のグローバル化でしょう。21世紀に入り生産効率化や環境・安全への配慮が重点テーマになったことで、個性を発揮することが難しくなりました。例えば、世界各国で売る車を作ろうとすると、各地の人が好むものの最大公約数が取られがちです。

そうなれば角が取れてマイルドにならざるを得ないですし、どこのメーカーも同じように考えると、全体的に似る傾向に。

さらに開発工程では、共通のシャシーで、燃費や直進安定性を考えてボディの空力実験を行います。そこで、少しでも数値の良い方にと整えればおのずと似たような形状になっていきます。

結果、皆さん、特に若者の目にはイマドキの車が「個性的ではない」と映ってしまっているようです。

プリウス ▲これまで以上に燃費性能が追求されている新型トヨタ プリウス

選択肢がある今のうちに個性的なモデルに注目を!

今、中古車として人気を集めているものの中に、2000年前後の車があります。発売から約20年が経過していますが、様々な制約が一気に進む手前のもので、生産国の特徴やメーカーの主張を多く発見することができます。

例えばジャガー、ボンネット上のジャガーオブジェが象徴的でした。ですが、2004年の法律改正により歩行者保護の観点から廃止になっています。

ジャガー ▲かつてジャガーをはじめとしたいくつかのメーカーではボンネット上に立体的なエンブレムを配していた

同じく法律の影響で、大排気量などもこの頃から急速に減少。他にもMT車なども、一気に数が減ってきています。

当然ですがこれらのモデルは今後、中古車市場で数が大幅に増加することはなく、減少傾向。ですので、まだ中古車として楽しめるうちにぜひ個性豊かな車に注目してみてください!

もしかするとこれが「最後のチャンス」になるかもしれませんから。

文/西村泰宏、写真/尾形和美
西村泰宏(にしむらやすひろ)

リクルート自動車総研所長

西村泰宏

カーセンサー統括編集長 兼 リクルート自動車総研所長。自動車メディアを車好きだけでなく、車を購入するすべての人のエンターテインメントに変革すべく日々の仕事に従事している。